中国新聞


触法少年補導 急増442人
広島県内1〜6月


 昨年比45.4%増 多い万引

 少年法で通常の刑罰が科されない十四歳未満の「触法少年」の補導件数が広島県内で急増し、今年一〜六月の上半期は昨年より45・4%多い四百四十二人と、過去五年で最多。なかでも中学生が多く、万引が目立つ。県警によると、繁華街や郊外の大型ショッピングセンターを抱えるエリアで特に増えている。

 内訳は中学生三百二十二人、小学生百二十人。昨年の同じ時期と比べ、中学生が51・9%、小学生が30・4%増えた。十四歳以上二十歳未満の非行少年の摘発が千三百六十三人と、前年同期より5・8%減ったのと対照的になった。

 県警少年対策課によると、広島市中心部の増加が特に目立つ。東署に一月〜七月に補導された六十七人の容疑は万引が二十七人、自転車盗が十六人と窃盗が六割を超えた。同署少年課によると、盗みの動機は「お金がない」などで、盗難防止タグの付いている音楽CDなどは避け、バッグにマンガや服を入れて盗む手口が大半だという。

 県警が昨年度、県や県教委と取り組んだ「少年犯罪防止緊急対策プロジェクト」で、万引に厳しい姿勢を示す方針を打ち出した。これにこたえて警察に届ける店が増えたのも一因とみられる。

 東署少年課の倉田礼爾課長は「子どもの意識を変えるのに重要な家庭や学校の教育力が落ちている。今後も防止策を積極的に進めたい」と話している。


触法少年 刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年を指す。刑法41条は「14歳に満たない者の行為は罰しない」と規定し、処罰の対象から除いている。家裁は少年法の規定で少年院への送致はできず、保護観察や児童自立支援施設への送致などを選択する。

(2005.8.17)


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