アスベスト対策 中国5県教委が本腰 中国五県の県教委などは、公・私立の小、中、高校、幼稚園の全施設を対象に、吹き付けアスベスト(石綿)の使用実態調査を始める。文部科学省の通知に呼応した動きで、児童・生徒たちの安全対策に万全を期すための、十八年ぶりの洗い出し作業となる。
文科省は七月二十九日、全都道府県に実態調査を依頼した。通知の中で「調査漏れがないように」と明記。使用実態の完全把握を目指す強い姿勢を打ち出している。一九九六年度以前に完成したすべての学校と幼稚園の施設を対象とし、調査期限は十一月十五日としている。 これを受け、広島県教委は二十九日、所管する県立学校全百五校と、二十八市町教委に調査を始めるよう求める文書を発送。「県立学校については、八月中に使用の有無の一次確認を済ませたい」(施設課)とする。私立学校四百校についても、県私学振興室が調査依頼文書を一日付で全施設の長に送った。 山口と岡山の両県教委は四日、それぞれの市町村教委職員らを集めて調査の趣旨を説明する。その後、通知を出す方針。山口県教委は「十八年前の全国一斉調査に比べ、調査対象が広がっている。前回は分からなかった使用実態が発覚するかもしれない」(教育政策課)とみて、調査に万全を期す構えだ。 島根県教委は、現在進めている図面での調査を踏まえ、使用が判明した学校に調査を依頼する。鳥取県は、文科省の通知の前に、既に各学校で調査に入っている。鳥取県教育環境課は「保護者の疑念を払しょくするため、調査対象に含まれない九七年度以降に建設された施設も調べる」としている。 各県とも今回は@壁や柱、天井などに吹き付けたアスベストや類似のアスベスト含有材A結露防止のため屋根に張ったアスベスト含有の断熱材―の有無と現状を調べる。 調査では、設計図で建材の使用場所を特定した上で、目視で現状を確認。判断が困難な場合は詳しい分析調査を行う―との共通の手順を踏む。 全校を対象とする調査は八七年度以来。当時、使用が見つかった中国地方の全百九十八施設では、除去や内装材で覆う囲い込みなどの飛散防止対策を施している。 (2005.8.3)
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