1歳過ぎたら虫歯に注意 「一歳過ぎても母乳を飲ませ続けるなら、子どもの口のケアには十分気を付けて」。七月二十五日付の子育て相談コーナー「すくすくサロン」で、授乳をやめる時期について載せた「一歳を過ぎたからという理由だけで断乳する必要はない」との助産師の意見に対し、小児歯科医師から助言が寄せられた。(西村文) ■小児歯科医師 「授乳後は前歯ふいて」
「母乳そのものが虫歯の原因ではないが、誘因になる恐れがある」。注意を呼び掛けるのは、広島臨床小児歯科研究会会長で、チャイルド歯科医院院長の山根習さん(54)=廿日市市。 近年は、子どもが自然におっぱいをやめるまで飲ませ続ける「卒乳」が主流。一歳半健診で虫歯が見つかる子どもの数は全国的に年々減っているが、「母乳や哺乳(ほにゅう)瓶でミルクを飲み続ける子どもの前歯に、重度の虫歯が見つかるケースがある」と警鐘を鳴らす。 母乳や哺乳瓶が原因とみられる虫歯は、乳首の当たる上あごの前歯にできやすいのが特徴。見えにくいため、親が気付いたときには重症化しているケースが多い。 虫歯の原因菌(ミュータンス菌)は、生まれたばかりの赤ちゃんの口には存在しない。周囲の大人から感染し、一歳半から二歳すぎごろには口内に定着する。一歳を過ぎると母乳やミルク以外の食べ物や飲み物も口にするようになるので、虫歯になりやすくなる。 「小児歯科医の立場から言うと、やはり一歳半ごろまでに断乳するのが望ましい」と山根さん。一歳半以降も授乳の継続を望む母親には歯磨きに加え、「授乳後に前歯だけでもふいたほうがいい」と勧める。水を含ませたカット綿を密閉容器に入れ、携帯しておくと便利だという。 親が気を付けていても、虫歯になりやすい体質の子どももいるという。「母乳育児を続けたい人は、子どもが一歳を過ぎたら、定期的に小児歯科を受診した方がいいでしょう」と山根さんは呼び掛けている。
(2005.7.26)
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