中国地方 広島は全国41位 公立小、中学校にある校舎や体育館などの施設の「耐震化率」が、広島は四十七都道府県で四十一位、山口県も四十三位の低位にあることが二十五日、文部科学省の調査で分かった。岡山、島根も全国平均を下回る。市町村の財政難などを反映し、大地震への備えが後回しになっている格好だ。
文科省の調査では、震度7を想定した耐震基準を持つ施設は、広島が41・8%▽山口が41・6%▽岡山が42・8%。島根は49・7%で十八位、鳥取は53・8%で十三位に入っているが、全国平均の51・8%を上回るのは五県で鳥取だけとなっている。 耐震化率の全国平均はこの一年間で2・7ポイントアップしたが、広島は0・8ポイント、山口は1・4ポイントにとどまるなど、対応の遅れも目立つ。 広島県教委によると、補強工事の費用は数千万円から一億円以上にも及ぶ。施設課は「全国的な大規模地震の発生を受け問題意識は高まってきてはいるが、市町の財政が厳しい上、学校の統廃合を検討しているエリアは二重投資への懸念もある」と説明する。 文科省は二〇〇三年度から三カ年で、一九八一年以前に建てた施設の耐震診断を終えるよう市町村に通知している。しかし、五県の実施率は最高の広島県でも55・8%、島根県では18・2%にとどまり、最終年度の本年度中に診断を完了するのは各県とも微妙な状況だ。 診断費用は一棟数十万〜数百万円かかる。島根県教委は「少子化で学校統廃合を検討する市町村も多く、二の足を踏んでいる」と明かす。 耐震化率の全国トップは神奈川県の80・6%で、最下位は香川県の31・2%。地域間の格差が目立つ中、文科省施設助成課は「学校は地域の緊急避難場所であり、児童・生徒の生命を守る場所。安全性の確保は不可欠」と耐震化の早期措置を求めている。
(2005.7.26)
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