中国新聞


子育て支援 運用で対応
次世代法全面施行3ヵ月


 地場企業 投資伴う動き鈍く

グラフ「次世代法に基づく主な子育て支援策の選択状況」

 少子化対策を進めるため次世代育成支援対策推進法(次世代法)が四月に全面施行されて三カ月。企業の対策としては、勤務時間の短縮など現行制度の運用面に重点を置く傾向が目立ち、出産で退職した社員の再雇用や託児所の設置などの大きな制度変更や投資を伴う動きは鈍いことが、広島労働局にこれまでに提出された各社の行動計画で浮かび上がった。

 広島労働局には六月末までに、行動計画の策定を義務付けられた従業員三百一人以上の企業の51・2%に当たる百五十社と、三百人以下十七社の計百六十七社が計画を提出。複数回答で選ぶ二十六項目の対策のうち、「所定外労働の削減」を選んだ企業が最も多く、49・1%を占めた。男性の育児休業の取得促進や休業中の代替要員の確保など「育児休業を取りやすく職場復帰しやすい環境整備」も48・5%で、ほぼ半数を占めた。

 「子どもの看護のための休暇制度導入」(26・3%)や「出産時の父親の休暇取得促進」(31・1%)「有給休暇の取得促進」(34・7%)など、25%を超えた八項目のうち五項目は休業・休暇関連に集中。子育てのための時間を社員に提供しようとする傾向が目立った。

 一方、人事制度の大幅な見直しが求められる対策は低調。「出産や子育てによる退職者の再雇用制度」は7・8%、「希望者に対する勤務地、担当業務の限定制度」は3・0%だった。設備の負担が必要な「事業所内託児施設の設置」は2・4%、「情報技術(IT)を利用した場所・時間にとらわれない働き方の導入」も1・2%と、ごく少数にとどまった。

 提出が義務付けられている行動計画は、二十六項目の中から企業が対策を取る項目に〇を付ける方式。具体的な計画内容までの提出は求めておらず、今後は実効性などが課題になりそうだ。

■行動計画61.4%が提出 中国地方

 次世代育成支援対策推進法で、子育て支援の行動計画の提出が義務付けられた従業員三百一人以上の中国五県の企業六百二十四社のうち、61・4%に当たる三百八十三社が六月末までに提出を終えた。

 県別の提出状況は、島根が最も割合が高く、四十一社中三十八社と92・7%。山口(九十四社)83・0%、鳥取(三十八社)71・1%が続いた。

 広島は二百九十三社中百五十社で51・2%と最低。岡山(百五十八社)も57・0%で、企業数の多い県で提出が遅れている傾向がみられた。提出が「努力義務」となっている三百人以下の企業は五県で計五十八社だった。広島以外の四県の労働局は提出された計画について項目の内訳を集計していない。

 広島労働局は「少子化を食い止めるためには企業の支援が欠かせない。100%を目指して対象企業に提出を求める」としている。

(2005.7.13)


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