広島市 不況直撃5人に1人 広島市立の小、中学校で、家庭の経済的事情から、学用品や給食代などの就学援助を受ける児童や生徒が、この十年間で倍増した。長引く景気低迷の影響とみられる。支給総額は年々膨らむ一方、国の補助額は減り、市の負担が重くなっている。
就学援助は学校教育法に基づき、生活保護を受けているか、所得や就業状況が一定の条件に当てはまる世帯の小、中学生が対象となる。広島市の場合、例えば四人家族で年間総所得が三百二十万円以下が基準となる。 支給対象は計七項目。学用品購入(年約一万二千〜二万六千円)▽給食費(実費)▽修学旅行実費(小学生二万四千円、中学生五万円が上限)―などとなっている。 受給者は年々増加し、一九九五年度に約一万千百人だったのが、二〇〇四年度は約二万千六百人と倍増。市立の全児童・生徒の五人に一人が援助を受けた。 しかも、〇四年度の支給総額は十三億千百万円だったのに対し、国の補助金は一億八千百万円(13・8%)。支給総額八億九千万円、補助金二億一千万円(23・7%)だった二〇〇〇年度と比べ、国の補助金は額、率ともに縮小した。この四年間で市の負担分は、六億八千万円から一・七倍の十一億三千万円に大幅に増えている。 市教委などによると、国は全国の小、中学生数を基に一定基準で割り出した総額から各自治体に配分する。全国枠が縮小すれば連動して自治体の持ち出しがかさむ。 さらに本年度から「三位一体改革」により、生活保護部分を除く国の補助金は廃止された。他の財源措置はあるものの、先行きに不透明さも残る。岡本茂信教育長は「経済的理由で小、中学生の就学が困難にならないよう努力したい。国には今後も財政措置の充実を求める」としている。文部科学省児童生徒課は「国も財政難で補助金削減を進めたのは事実。だが、自治体の基準が、本当に就学困難といえるのか分からないケースもあるのではないか」としている。 (2005.7.5)
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