2004年度厚労省集計 通告義務拡大で増加 全国の児童相談所が二○○四年度に処理した児童虐待の相談件数は三万二千九百七十九件となり、前年度より約六千四百件増え、初めて年間三万件を突破したことが二十日、厚生労働省の集計(速報値)で分かった。未処理分を含めると相談受付件数は三万四千三百六十八件だった。 昨年一月に発覚した大阪府岸和田市の虐待事件などで関心が高まり、十月には虐待されたと疑われる子供を発見した場合まで国民の通告義務を拡大した改正児童虐待防止法が施行された効果とみられ、幼い命を脅かす潜在的な虐待被害の広がりをあらためて示した。 全国の相談所で働く児童福祉司は、今年四月の配置基準引き上げを受け、五月一日現在で前年度より百九十人多い二千三人となり、初めて二千人を超えた。 虐待相談の処理件数は集計を始めた一九九○年度の千百一件から年々増加。○四年度までの十四年間で約三十倍に膨らんだ計算になる。 ○三年度は中学三年の男子生徒が餓死寸前で保護された岸和田市の事件など深刻なケースが相次ぎ、前年度に比べて約二千八百件の増加となったが、○四年度の増加幅はそれを大きく上回った。 都道府県、政令指定都市別の処理件数では、前年度より千五百六十七件増えた大阪府など都市部に集中。前年度と比べた増加率は高知県二・○七倍、千葉市一・九七倍、愛媛県一・七六倍。広島県は一・五〇倍、島根県でも一・四九倍になっている。 所は急増する相談でパンク状態にあり、厚労省は今年四月施行の改正児童福祉法で、子供に関する相談窓口を全市町村に設置して受け皿を広げ、相談所は深刻なケースに対応する専門機関とする新体制を始めた。 (2005.6.21 共同通信)
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