文科省義務教育調査 教員の半数 削減望む ゆとり教育の目玉として導入され、現在中教審で見直しが審議されている「総合的な学習の時間」について、小中学生の保護者の69%が肯定的に評価する一方、小中学校の教員の評価は53%にとどまり、46%はなくした方がよいと考えていることが十八日、文部科学省の「義務教育に関する意識調査」で分かった。 授業時間増や補習授業についても、要望の強い保護者と比べ教員は否定的で、両者の意識の差が際立つ結果となった。 調査は文科省が民間に委嘱して実施、小中学生や保護者、教員、教育長ら約一万八千人が回答した。義務教育全般についてこれだけ大規模な調査は初めてで、結果は同日開かれた中教審義務教育特別部会で報告された。 学校の満足度では保護者の70%が「とても満足」「まあ満足」と回答した。「学校教育で身に付ける必要性が高い力」は、保護者、教員とも「教科の基礎的な学力」が最も高かった。 総合学習を肯定的に評価したのは小学生の保護者の73%、中学生の保護者の63%。子どもでは、小学生60%、中学生46%が「とても好き」「まあ好き」と回答、「好きではない」の小学生11%、中学生14%を上回った。 「(総合学習に取り組むことで)各教科で勉強したことが自分に大切なことだと分かった」と感じている小学生は81%、中学生は56%に上った。 しかし、教員は「負担が大きい」83%、「基礎的学習がおろそかになる」70%と否定派が多数。中学校教員の57%が「なくした方がよい」と感じるなど、評価の低さが目立った。 また、95%もの教員が忙しいと感じていることも判明。学校五日制や授業に関する質問では「年間の授業時間を増やす」に肯定的意見は教員の36%に対し、保護者は67%に上った。「放課後や土曜日、夏休みの補習授業」に賛成は教員14%、保護者61%で、学力低下を懸念する保護者の意識が浮き彫りになった。 <調査の方法>文部科学省がベネッセ教育研究開発センターに委嘱して3月から4月にかけて実施。小中学生と保護者、教員、自治体の首長や教育長ら計約3万6000人を対象に、約1万8000人から回答があった。 小学生は全国から15校を選び4年生以上の3400人が、中学生は10校の2900人が答えた。そのほかの回答率は保護者約69%、教員26%、学校評議員17%。首長と教育長は全都道府県と全市区町村が対象で、回答率はそれぞれ29%、38%だった。 (2005.6.19 共同通信)
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