中国新聞


非行の子、3割虐待体験
厚労省研究班調査


 半数は養育者代わる

 全国の児童相談所で非行相談を受け付けた子供の30%は親などから虐待されたことがあり、ほぼ半数は育つ途中で養育者が代わり、親や家族らとの愛着関係を絶たれる経験をしていたことが十三日、犬塚峰子・東京都児童相談センター治療指導課長らの厚生労働省研究班の調査で分かった。

 犬塚課長によると、一般家庭で社会的介入の必要な虐待の発生率は十七歳までの少年少女千人に対し年間一・五人程度と推定されるとの研究報告もあり、30%という数字は高いという。

 相談所の扱ったケースから非行の背景を探る全国調査は初めて。全国児童相談所長会が昨年十月、二○○三年度に受け付けたすべての非行相談についてアンケート形式で実施。約一万一千人分のデータが集まり、虐待などを中心に分析した。

 それによると、性別は男子が63%で、非行内容は「盗み」「家出・外泊」など。十四歳以上は主に警察が対応するため、十四歳未満が中心で、約70%が中学生だった。

 虐待を受けた子供は全体の30%。複数の種類の虐待を受けた子が目立ち、殴るなどの身体的虐待が78%、ネグレクト(養育放棄)が73%で、心理的虐待50%、性的虐待32%が続く。

 親が離婚したり、施設に預けられたりして養育者が途中で代わった子供は47%で、うち約四分の一は三歳未満で経験。代わった回数は一回が66%、二回が18%で、三回以上も11%いた。

 ドメスティックバイオレンス(DV)のある家庭で育った子供が全体の10%いることも判明。

 「攻撃性が高い」「情緒不安定」など何らかの心理的・精神的問題を抱える子供は85%おり、虐待経験のある子供だと92%に上昇した。

 政府は、十四歳未満でも警察の家宅捜索などを可能にする改正少年法の今国会成立を目指しているが、児童福祉の専門家は「警察ではなく相談所が親子関係の改善や子供のケアを考えるべきだ」と指摘している。

(2005.6.14 共同通信)


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