三次で22日、3歳未満児対象に「広場」 おもちゃは、子どもの心の糧。食べ物と同じくらい、素材や「栄養」を気遣って―。特定非営利活動法人(NPO法人)日本グッド・トイ委員会(事務局・東京都)選定の優良おもちゃに触れてもらう「おもちゃの広場」が二十二日、三次市の三次福祉保健センターである。(石丸賢) ■優良品展示 工作も「素材・感触楽しんで」
主催者は、同委員会のおもちゃコンサルタントで、木のおもちゃ専門店「HANA」を二〇〇四年六月、三次市内に開いた川添由起子さん(33)。「おもちゃ屋さんが身近になくなった過疎地も多い。親子が、世界のおもちゃに出合える場をつくりたくて」 「おもちゃの広場」は、三歳未満の子どもと家族が主な対象。木づち遊びや組み木パズル、積み木、玉落としなど委員会選定の優良おもちゃ約三十種類を会場に並べ、手にとって自由に遊んでもらう。端材を使い、おもちゃを作る教室も用意する。 いいおもちゃで遊ぶと「指先や目が動きだす」と、川添さんは言う。押す、たたく、こねる、回す、挟む、ねじる…。脳とつながった手指の発達は、五感や思考、感情、意思を目覚めさせていく。 入院児童の治療不安や苦痛を和らげたり、高齢者のリハビリに使ったり、心身を癒やす道具としても、おもちゃの可能性は広がっているという。実際、三次市内で、デイサービスの時間に指人形の裁縫セットや釣り遊びのおもちゃを取り入れた事業所もある。 「手触りも、大事な栄養」と、川添さんの店には木のおもちゃばかり約四百八十種類が並ぶ。ドイツ、スウェーデン、スイス、フランスなど海外製も多い。「日本では木のおもちゃは高価という先入観が強いけれど、欧州では父から子へと受け継いで遊ぶ。長い目で考えれば合理的だし、電動の使い捨ておもちゃだけでは、文化と呼べない気がする」 古里三次を離れ、福岡市の設計会社に勤めていた一九九七年ごろ。知人にもらった木製おもちゃのぬくもりにひかれ、作家の工房を訪ねた。通ううち、手作りの妙味を覚えた。揚げ句、工作室のあるホームセンターに転職し、結婚後もクラフトの腕と知識を磨いた。 店には、市内や近隣から子育て中の母親たちが訪ねてくる。核家族化で、子どもが保育所などに通うまでは「親子ともども行き場がない」と、孤独感に悩む親は多い。川添さんも「まだしゃべらない娘と一日中、二人っきりで過ごした日が何度もあった」という。 そんな親同士をつなぐ子育てサロンの意味合いも、「おもちゃの広場」にはこもる。常連客の庄原市総領町、環境教育コーディネーター高藤麗子さん(37)は趣旨に賛同し、木切れを使った工作教室の講師を引き受けた。「木を仲立ちに友達の輪が広がれば、いい」 二十二日は午前十時から午後三時まで。参加無料(工作教室は材料費三百円が必要)。次回も同センターで八月三日に開く。HANATEL0824(66)1896=日曜、月曜は休み。
(2005.6.11)
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