関係者に期待と不安 ■「選択増す」「統廃合懸念」 高教組など撤回要求へ
来春から、県立高校の普通科に「学区の壁」が無くなることが十三日、決まった。半世紀以上続いた制度の廃止に、教育関係者からは「選択の幅が広がる」と歓迎する声の一方で、学校統廃合の加速などを懸念する意見も聞かれた。 記者会見した県教委の関靖直教育長は「生徒がより自分にふさわしい進路選択をできるようになる」などと、通学区域の「全県一円化」のメリットを強調。特色ある学校づくりの環境整備を進める考えを示した。 教育の機会均等をうたう教育基本法に基づき、一九四九年度から続く学区制の廃止。県PTA連合会の清原秀友会長は「学校の魅力づくりや、教員のスキルアップにつなげる好機としてほしい」と評価する。 「スーパー英語高」に指定されている尾道東高(尾道市)の島田歓二校長は「これまで以上に広報に積極的に取り組まないといけない」と意気込む。広島都市圏などの広島学区にほど近い呉市内の中学校長は「生徒や保護者のニーズに応えられるよう、広く高校の情報を収集する体制づくりを急がなければ」と気を引き締める。 一方、十三日の県教育委員会会議では、「学区廃止が、中山間地域などの高校の統廃合につながらないか」との疑問も委員から出た。県北の学校長は「都市部に多く入学者が流れ、保護者の経済的負担が掛かるようになっては困る」と保護者の不安を代弁する。 関教育長は「再編整備のためではまったくない」と言い切る。それに対し、県高教組や県教組は「現行の制度で不都合はない」などとし、近く、県教委に方針撤回を申し入れる考えだ。 一方、現行制度にも、定員の30%を上限に学区外から入学できる枠がある。「大きな変化や効果が出るか否かは、未知数」との見方は、県教委内部にもある。 (2005.5.14)
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