子育てネットにママの力 呉市が官民一体型サイト インターネットの普及とともに、増える地域密着型の子育てサイト。呉市は四月から、子育て情報を集めた「くれ子育てねっと」をスタートさせた。運営するのは、子育て中の母親と市。官民一体型サイトは全国でも珍しく、「先進的で充実したサイトにしたい」と力が入っている。(新山創)
■「食」や「遊び」情報細やか 「写真が多くないと、見てもらえない」「イメージキャラクターを作りたい」。スタートを控えた編集会議ではサイトに載せるホームページ(HP)「くれパステル」をめぐり、母親と市職員が同じテーブルで何度も率直な意見を交わした。 くれパステルを作ったのは、昨年十一月に始まった市のワークショップに参加した市内の母親二十人。HPは「食」「遊び」「お役立ち」「玉手箱」のコーナーを設け、手軽なおやつの作り方や施設の利便性など子育てに役立つ情報を自らが取材して紹介している。
参加者は全員がゼロ―二歳児を育てる二十〜三十代で、プログラマーやイラストレーターなど多彩な職歴を持つ。編集長役を務めた小島英美さん(35)は「一般的には子育てに没頭する時期。だけど、子育て中でも社会に出て、自分を磨きたかった」と参加理由を語る。 一方、市もサイト内で育児支援を展開。ネット上で子育て相談を受けるシステムを設けた。登録して相談内容を書き込むと、それに応じて専門家が三日ほどで回答する。二十四時間受け付けで、見た後で消せば他の家族の目にも触れない。 市によると、官民一体型サイトは民間の情報を細かくチェックするなどの管理が難しいうえ、責任の所在があいまいになるため、作ろうとする自治体はほとんどない。 それでも一体型にこだわった理由を、市子育て支援課の上藤英伸課長(48)は「行政情報だけでは見てもらえない。本当に役立つきめ細かい情報を得るには、育児真っ最中の母親の視点がどうしても必要だった」と説明する。 スタートしてほぼ一カ月。HPの閲覧や子育て相談の利用はまだまだ低調ながら、「パンフレットやチラシで地道にPRし、いずれは仲間と育児商品の開発なども手掛けたい」と小島さん。課題を抱えながらも、広がる母親の夢が呉市の少子化対策を後押ししようとしている。 アドレスは、http://www.kure-kosodate.com (2005.4.25)
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