文科省、2004年実施の学力テスト 文部科学省は二十二日、昨年一−二月に全国の小学五年−中学三年約四十五万人を対象にした教育課程実施状況調査(学力テスト)の結果を公表した。二○○二年の前回と同じ問題で、正しく答えた割合(正答率)が全体的に上昇、大半の教科・学年で前回を上回り改善傾向を示した。 ゆとり路線を掲げて○二年春に導入した学習指導要領の下で初の調査。学力低下を懸念し、基礎基本の定着を図る学校が増えた反映とみられ、単純な計算式や漢字などの正答率は軒並み上昇した。しかし、記述式を中心に悪化した問題もあり、課題を残した。 意識調査でも「勉強が大切だ」「好きだ」と答えた割合が前回より上昇するなど、学習意欲も向上の兆しが出てきた。 中山成彬文科相は会見で「学力低下に若干の歯止めがかかった。ゆとり(路線)ではいけないと軌道修正してきた結果だ」とし、脱ゆとり方針の維持を表明した。 テストは全小学五、六年生の8%に当たる約二十一万千人、全中学生の8%に当たる約二十四万人が対象。国語、社会、算数・数学、理科、英語を出題し、総問題千九百三十九問の29%に当たる五百五十七問を前回と同じ問題にした。 うち43%が前回の正答率を上回り、39%は同程度、17%が前回を下回った。延べ二十三の教科・学年別では、中一の国語・社会・数学以外は平均正答率が前回を上回った。 前回に加え、一九九四−九六年の前々回調査とも同じ問題は小学校で六十五問、中学で九十七問あり、今回の平均正答率は小78・0%、中62・4%で、三回を通じともに最も高かった。 問題ごとに事前に定める想定正答率との比較では、中三英語を除いた教科で、想定正答率を上回るか同程度の合計問題数が半数以上を占めた。 記述式に限って前回と同じ問題で比べると、国語の平均正答率は0・9ポイント、算数・数学は0・1ポイントそれぞれダウン。昨年末に公表された国際学力調査で、日本は自由記述や文章の理解力で課題が判明しており、今回も同様の傾向が出た。 同省は二月に指導要領の全面見直しを中教審に要請しており、テストの結果を受け、基礎学力の一層の充実と、思考力などの強化の方向で見直しが進むとみられる。 (2005.4.23 共同通信)
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