中国新聞


育児の味方 携帯メール
ひろしまこども夢財団の送信サービス好評


 広島県の外郭団体、ひろしまこども夢財団(理事長・新木一弘県福祉保健部長)が、子育て情報を県内の会員に提供する「Kids情報送信サービス」が好評だ。携帯電話のメールによる受信というのが受けて、会員数はサービスが本格化した昨年秋から半年間で三倍の約五千百人になった。核家族化が進み、ともすれば「情報過疎」になりがちな育児中の人たちに「安心感」も届けているようだ。(平井敦子)

■催し・健康・防犯… 「情報過疎」を解消

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携帯電話のメールで届く子育て情報を活用する廿日市市の吉和さん親子

 二歳の娘がいる広島市安佐北区の小泉理恵さん(32)の携帯電話には毎月、財団から十五通程度のメールが届く。動物園の写生大会や図書館のお話し会などのイベントにインフルエンザ警報の発令など健康情報…。「子どもが小さいと行動範囲も限られる。身近な情報が役立っています」

 育児休暇中は自分で新聞やインターネット、市広報などで情報を探していた。しかし、薬剤師の仕事に復帰してから平日の帰宅時間は午後七時。「子どもの世話と家事でバタン・キュー。情報探しの余裕はなかった」。会員になってからは、仕事の休み時間などに素早く確認できるようになったという。

 財団が送信サービスを始めたのは、二〇〇二年十月。官民の子育て情報を都道府県単位で提供するサービスは全国初の試みだった。会員は、主に小学生以下の子どもの保護者が対象。会員の住所や子どもの年齢に応じた情報を提供してきた。

▽本格化半年で5100人

 昨年九月に送受信容量を増やす基盤整備を終えたのを機に本格的に広報。十一月には廿日市市と提携し、財団のシステムを使って、市内の会員に同市の行政情報を発信する事業も始めた。全体の会員数は昨年八月の約千七百人が、今年二月末には五千百人に増えた。

 広島市植物公園(佐伯区)が昨年十月に開いた「どんぐりあそび教室」では、参加した約九十人の七割近くが「財団の携帯メールで教室の開催を知った」と回答した。市植物公園の企画広報担当者は「対象者にピンポイントで発信してもらえるし、手元に文字で残り、情報が確実に伝わる」と効果を実感した。

 財団が今年一月、廿日市市の会員七十六人に実施したアンケートでは、97%の七十四人が「役に立つ」。複数回答で聞いた「必要とする情報」では、不審者情報が七十二人で最も多く、感染症が四十九人、医療・健診が三十五人、イベントが三十二人だった。

 五歳と三歳の娘を育てる廿日市市の吉和美佳子さん(34)は「最近は怖い事件が多い。不審者情報が入るたび、子どもたちに注意を促してます」と話す。

▽市町との連携課題

 会員が増える一方、改善すべき点も見え始めている。例えば、会員のニーズが高い不審者情報。一一〇番通報から会員に発信されるまで二、三日かかる。内容が確定してから送るためだが、いかにも遅い。また、地域に密着した情報を送ることができる各市町との本格的な連携もこれからだ。

 広島県は「児童虐待や育児不安の背景には、育児中の孤独化がある。多彩な情報提供は育児支援につながる」(児童支援室)として、本年度、システム改良などに約七百万円を補助する。財団の森野晴洋事業課長は「今後は利用者だけでなく、市町や企業など情報発信側にも利点をPRして、さらに使いよくしたい」と話している。


Kids情報送信サービスの申し込みアドレスはkids@yumezaidan.or.jp 利用料は無料。子どもの生年月日と市区町名、保護者以外は職種を明記し、受信を希望する携帯電話から申し込む。ひろしまこども夢財団TEL082(212)1007

(2005.4.6)


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