脱ゆとり 「発展」登場 文部科学省は五日、来春から使用される中学校教科書の検定結果を公表した。学習指導要領の範囲を超える「発展的内容」が中学で初登場し、学力低下を受け練習問題も増加。ページ数は現行に比べ数学、理科でともに23%増え、国語、社会、英語を合わせた平均で11%増となるなど、ゆとり路線のスリム化から一転、教科書の厚さは十六年前の水準に戻った。 元素周期表・進化が復活 竹島問題 各社が記述 現行教科書で消えた理科の「イオン」「進化」「元素周期表」のほか、数学の「二次方程式の解の公式」など高校レベルの内容が、軒並み発展的内容として復活した。 従来の教科書を自虐的と批判する「新しい歴史教科書をつくる会」が主導し、扶桑社が発行する歴史と公民の教科書が前回二〇〇〇年度検定に続き合格。八月末が期限となる採択状況も絡んで、外交懸案になりそうだ。 公民や地理で、日韓が領有権を主張する竹島を扱った教科書もあり、このうち扶桑社は「韓国が不法占拠」と記述、韓国が反発している。 新しい教科書のページ数は国語が前回比8%増、英語6%増、社会は変わらず。五教科合計は三千六十八ページで、三千百二ページだった一九九〇年度分の水準に。文科省がゆとり脱却を打ち出す中、内容を厳選した現行教科書は四年で姿を消す。 発展的内容は昨年使用開始の高校の選択科目で初めて導入、今春からの小学校用で全教科に登場した。今回の中学用で全体に占める割合は全教科平均2・7%で、理科の7・0%が最高だった。 竹島は、扶桑社が公民で「韓国とわが国で領有権をめぐって対立している」と申請。「領有権について誤解する恐れがある」と検定意見が付き、政府見解に基づき「わが国固有の領土であるが、韓国が不法占拠している」と修正した。 同社への検定意見は歴史百二十四件(前回百三十七件)、公民七十五件(同九十九件)で、すべて修正に応じた。申請段階で韓国併合を「一部に受け入れる声もあった」としたが「経緯を誤解する恐れがある」と意見が付き削除した。 歴史では各社とも日本の加害記述を簡略化し「慰安婦」表記は消えた。 全教科の検定意見数は、前回から五百十九件増の四千八百五十四件。理科で依然厳格な検定もあり30%を占めた。 今回は現行指導要領に基づく二回目の中学検定で九教科百三点が合格した。 (2005.4.6 共同)
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