中国新聞


子育て支援 山口県内の企業に動き
行動計画提出 「女性が活躍」歓迎の声


 二〇〇三年七月公布の次世代育成支援対策推進法(次世代法)のうち、子育て支援の充実に向けた行動計画づくりを企業や医療法人に求める部分が四月一日、施行される。従業員数が三百一人以上の事業主は、一日以降すみやかに各都道府県の労働局に計画の提出が義務付けられ、三百人以下でも努力義務となる。施行を前に県内の取り組みを見た。

(村田拓也)

■認定希望 まだ大手中心

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西野さん(左)と打ち合わせをする中元さん。子育て支援を充実する流れを歓迎しているという

 女性登用に積極的として、〇四年六月に均等推進企業表彰の山口労働局長奨励賞を受けた建設業の新光産業(宇部市)。二〇〇〇年度から女性の管理職登用を本格化させ、五十人のうち六人を主任以上の管理職にしている。

 経理部主任の中元美由紀さん(33)もその一人。二〇〇〇年に昇格し、一事業部と関連会社の売上高など経営情報を管理する。「言われたことをやるだけではなくなった。その分、責任感も増えた」と振り返る。

 「より女性が働きやすい職場づくりを進めたい」。取締役総務部長の西野英夫さん(57)は、法施行を好機ととらえる。

 行動計画で、〇九年度までに取り組む対策は三点。就学前の子どもを育てる従業員に年五日まである看護休暇制度では、日単位でなく時間単位で取得できるようにする。

 残業時間を減らすため毎週水曜日の「ノー残業デー」も徹底。子どもが親の働く姿を見学できるよう、地域の子どもの工場見学の受け入れ態勢も整備する。社員のニーズ調査や管理職研修で、実現を目指すという。

「社内が活性化」

 従業員三百五十人の同社にとって、戦力として育ってきた女性が、結婚や出産を機にやめるのは痛手になる。「女性の活躍で男性も発奮し、会社が活性化する」と西野さん。従業員が定年まで働ける風土づくりに力を入れるつもりだ。

 山口労働局(山口市)によると、県内で行動計画の提出を義務付けられるのは約百社・団体。雇用均等室長の鈴木秀博さん(42)は「提出日が近づき、問い合わせの内容が具体的になってきた」と手応えを感じている。

 局は昨年五月、県内二カ所で説明会を開催。延べ百五十七社・団体の百六十四人が参加し、関心の高さをうかがわせた。該当先には〇三年度から訪問し、今月中旬には届け出用紙も配布した。

 計画期間内に男性の育児休業取得者がいるなどの条件を満たすと、子育て支援の優良企業として各労働局長が認定。それを取得する動きもあるという。認定されれば広告や求人に専用マーク「子育てサポートしています」を表示でき、企業イメージの向上や人材確保につながると期待されるからだ。

▽国は普及に努力

 ただ県内で認定を希望するのは、大手を中心にまだわずか。努力義務の事業主が行動計画の策定に取り組む動きも広がってはいない。鈴木さんは「子育てしやすい環境づくりは、労働者へのメリットが大きい。たくさんの事業主に取り組んでもらえるよう、普及啓発に努める」と強調している。


行動計画 企業や法人が、仕事と子育ての両立できる雇用環境をどう整備するか、目標や対策を定めるもの。少子化の進行に歯止めをかける目的で、策定が法制化された。子どもが生まれる父親の休暇取得の促進や情報技術(IT)を活用した自由な働き方の導入、託児室の設置などが想定されている。期間はおおむね2―5年。具体的な数値目標も掲げ、労働局には計画に盛り込んだ項目を提出する。

(2005.3.31)


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