中国新聞


出産医療 庄原圏もゼロに
赤十字病院、来月休止


医師定年 後任なく

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4月から出産ができなくなる庄原赤十字病院

 庄原市の庄原赤十字病院(阪上賢一院長)が四月から、産婦人科での分娩(ぶんべん)の取り扱いを休止することが二十二日分かった。今月末で定年退職する医師の後任が確保できなかった。三十一日の合併で香川県の三分の二の面積になる新・庄原市内で出産可能な医療施設はなくなる。

 病院によると、産婦人科の医師は一人。市内と広島県比婆郡内を中心に年間約二百人が出産していた。昨春から中国地方の大学医学部に後任の常勤医師の派遣を依頼していたが、実現しなかったという。

 先週末まで協力を求め続け、広島大医学部の医師が毎週火曜日に非常勤で外来診療と婦人科検診に当たることが決まり、医師不在だけは免れた。退職する医師も五月から毎週木曜日に婦人科の検診を担当する。

 病院は「産科医は全国的に不足状態。新人医師の臨床研修の必修化で、医師のやりくりが難しくなったこともある」とし、「早く再開できるよう今後も大学側に協力を求める」と説明する。今月中が予定日の妊婦については出産が四月に延びても対応する。

 出産が近い妻を持つ庄原市内の男性(34)は「まだ、どの病院で出産するかは決めてない。広い地域のことや、次の子のことを考えても、いざというとき不安」と訴えている。庄原市も県などに医師確保への協力を求めている。

 新・庄原市地域の年間出生数は約三百人。近隣で出産可能な病院と医院は、三次市内の二カ所と、安芸高田、府中両市内の各一カ所。県内十五市のうち出産可能な医療機関がないのは江田島市だけ。大竹市では七月から同様の事態になる恐れが出ている。

(2005.3.23)


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