中国新聞


小学校にも教科担任制
府中市教委が「授業交換」推進


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授業交換で、隣のクラスの教諭が指導する5年生理科の授業。担任教諭はこの時間、音楽を指導している(旭小)

 府中市教委が二〇〇四年度から、小学校の教員間の「授業交換」を積極的に進めている。学級担任制を基本としている小学校の仕組みを一部見直し、複数の教員が子どもたちにかかわる体制を構築するのが狙い。県教委指導一課によると、市教委の呼び掛けで全市的に授業交換を実施するのは珍しいという。

 体育が得意な男性教員と音楽が得意な女性教員がいる場合、時間割を事前に調整しておけば授業を交換できる―というのが代表例。理科と社会▽理科と音楽・家庭科▽理科・体育と音楽・家庭科・図工―といったさまざまな組み合わせを各校が模索している。

 初年度は十四校中八校が実施し、〇五年度は全校が前向きに検討中。

 〇八年度までに全市域に小中一貫教育を導入するよう目指している市教委は、授業交換を小中学校の垣根を低くするための一手段と位置付けている。坂本紀之学校教育課長は「中学の教科担任制は、子どもたちにとって大きな変化であり、戸惑いも見られる。授業交換によって、教科担任制の一端に触れさせたい」と狙いを説明する。

 このほか、授業交換の効果として(1)複数の視線で子どもたちを見守ることができる(2)専門性の高い授業の実現が可能(3)教員間の意思疎通や交流が深まる―などを挙げる。

 学校側には戸惑いもある。ある校長は「一学年一学級の小規模校の場合、学年を超えた授業交換となる。授業数、時間割を合わせるのは極めて困難だ」と話す。

 市教委は〇五年度、市内の中学校五校に市費雇用の臨時講師を配属する予定。兼務発令があれば、中学校の教員や臨時講師が小学校の教壇に立つことも可能だ。小学校での学級担任制は一層、様変わりしそうだ。

(2005.3.22)


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