安芸高田市 現場に不安の声も 安芸高田市は四月から、市の保育所で働く臨時・非常勤の保育士と給食調理員を、行政や企業から業務を請け負う民間会社「大新東」(東京都)に移管し、同社と雇用契約を結ぶ。現時点での対象者は七十一人で、雇用者は市から同社に変わり、民間企業の社員として勤める。市が三日、新年度予算案を発表した記者会見で明らかにした。 市は、約二百七十人の臨時・非常勤職員を雇用。うち四月以降、市内十カ所の市営保育所で働く臨時・非常勤の保育士五十二人と給食調理員十九人は、「大新東」と雇用契約を結び、同社が市に七十一人を派遣する形態となる。最終人数は、本人の意向を踏まえて確定。保育所は今まで通り市が運営し、職員約六十人と業務にあたる。学校給食調理場の三十七人、市役所事務の三十人など約百二十人は、財団法人の市地域振興事業団が採用。小中学校の臨時教員などは従来通り市が雇用する。 昨年三月、六町が合併して誕生した安芸高田市は旧町時代、各町が本来は雇用期間が限定される臨時・非常勤職員を、人材確保などの理由で恒常的に雇っていた。こうした地方公務員法に反する状態の是正や賃金体系の見直しなどを狙い、市は今回の措置に踏み切る。 教育・福祉分野への民間参入は、全国で進んでいる。しかし、保育現場の臨時・非常勤職員だけを民間委託し、職員と一緒に業務に当たらせるのは異例の試み。現場や保護者からは「なぜ保育業務だけを民間委託するのか」「教育現場で、公務員と社員が混在して大丈夫か」などの不安や疑問の声が出ている。 増元正信助役は「子育てという特別な分野だから経験のある民間へ委託した。市と業者と職員が連携し、混乱が起きないようにしたい」と話している。 (2005.3.4)
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