中国新聞


発達障害 支援が本格化
中国5県・広島市 拠点整備や体制充実


 自閉症や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)の人たちへの支援を進める発達障害者支援法が、四月に施行される。これに伴い広島県と広島市は十月、それぞれ支援センターを新設する。山口、岡山、鳥取県は設置済みで、島根県も新年度に設置に向けた検討委員会を発足させる方針。中国地方で発達障害への支援が本格化しつつある。

 広島県はセンターの運営を東広島市の社会福祉法人「つつじ」に委託。同法人が市内で運営する障害者施設内にセンターを置き、職員四人を配置する。本人や家族を対象に、相談、療育指導、就労支援を実施。学校や福祉施設職員らへの研修もする。

 広島市は、市社会福祉事業団に委託し、東区の市こども療育センター内に支援センターを設置。県と同種の事業を展開する。新年度の早期に、学識経験者や医師、保護者らでつくる支援体制整備検討委員会を発足。ニーズを探る。

 山口、岡山県は社会福祉法人に委託し二〇〇二年十月に、鳥取県は直営で昨年四月にセンターを設置した。昨年度は山口で延べ二百五十件、岡山も延べ三百五十七件の相談があり、本年度はそれを上回るペースで受け付けている。

 これまで各県は、発達障害者の人数も把握していない。一方、〇二年の文部科学省の調査では、LD、ADHD、知的な発達に遅れのない高機能自閉症の小、中学生の割合を児童・生徒全体の6・3%と推計している。

 広島県福祉保健部は「福祉制度のはざまにあった発達障害の人たちへの支援を、センターを核に広げたい」としている。


発達障害 対人関係に障害などが表れる自閉症やアスペルガー症候群を含む広汎性発達障害▽読む、書く、計算するなど特定の能力に著しく困難があるLD▽集中できず、じっとできない言動の見られるADHD―など脳機能の障害。4月施行の発達障害者支援法は、発達障害の早期発見や療育、障害のある人の就労などの体制整備を国、自治体に促す内容となっている。

(2005.2.26)


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