中国新聞


育児助け合い 広がる輪
岩国市東地区のサークル1年半


 岩国市東地区に、住民の後押しで活動の幅を広げてきた育児サークルがある。地元の元民生委員が結成を呼び掛け、手探りで始動した自主運営グループ「ピーチ・ウェンディーズ」。一年半が過ぎて運営が軌道に乗り、今年は東地区限定だった会員の募集区域を市内全域に広げる。地域にまかれた育児支援の種が、しっかりと根付き始めている。

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地域の支援で活動が軌道に乗ったピーチ・ウェンディーズ。毎週水曜日、親子が交流を楽しむ

 会員は未就学の乳幼児と母親。現在、二十三組が登録している。活動拠点は三笠町の供用会館で毎週水曜日に交流する。月に計二回、保健師や保育士を招き、育児相談や子どもの身体測定、遊びの場なども設けている。

 発足したのは二〇〇三年七月。「育児中のお母さん集まれ!」と書かれたチラシがきっかけだった。仕掛けたのは、民生委員を三十年以上務め、同年三月に退いたばかりだった三笠町の広兼一光さん(76)。「地域に役立つ団体を残したい」と、市社会福祉協議会に相談して呼び掛けた。

 「最近は地域のつながりが薄れ、隣同士さえ付き合いがない場合がある。交流のきっかけをつくりたかった」という。

 初会合には、互いに初対面の七組の親子が集まった。広兼さんにサークル運営を提案された時の気持ちを、初代会長の松重純子さん(34)は「既存のサークルに参加するものと思っていただけに、戸惑いました」と振り返る。

 その不安は、地域の支援で解消された。初めの数カ月間は、地元の女性民生委員が毎週出席。子どもの世話を助け、活動を支えた。地区の回覧板もフル活用。遊具の提供を募ったところ、住民から使わなくなった玩具や絵本がどっさり届いた。定期的に広報誌も回覧して、会員は順調に増えてきた。

 「きっかけをもらい、孤立していたお母さんが悩みを軽減できた。活動に欲も出ました」と松重さん。海水浴や遠足などを企画し、会報を作るなど、活動を発展させた。「無理はしない」という運営方針も好評。会費は一回百円。好きな日だけ参加できる仕組みだ。

 今後は仲間を増やし、息の長い活動を続けるのが目標という。四月に会長を引き継ぐ井野有紀さん(36)は「自分たちが精神的に支えられたように、ほかのお母さんの負担が減れば幸い」と張り切る。広兼さんも「会の成長はうれしい。今後も協力は惜しみません」と喜んでいる。井野さんTEL090(1769)3236。

(2005.2.24)


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