学会調査 若手不足で医師不在や業務休止 大学病院から産婦人科医の派遣を受けている全国の約千百病院のうち、二〇〇三年度以降に産婦人科医が不在になっていたり今後ゼロになるのが確実だったりする病院が少なくとも百十七あり、ほとんどが業務休止を余儀なくされていることが、日本産科婦人科学会(会長・藤井信吾京都大教授)の調査で十六日分かった。 若手の産婦人科医が減り、派遣が困難になっているため。昨年から新人医師に義務付けられた二年間の臨床研修制度が、医師不足に拍車をかけたという。 派遣を受けている病院は自治体病院など、比較的リスクの高い妊婦や異常分娩(ぶんべん)に対応できる地域の中核病院である場合が多く、厚生労働省は産婦人科医の在り方や確保策について検討を始めた。 学会は昨年六〜九月、要請を受け産婦人科医を派遣している百二の大学病院を対象に調査。七十二病院が回答した。 派遣を受けた病院は全国で千九十六。〇三、〇四年度に、大学側が少なくとも一人の医師を引き揚げたために態勢の縮小を迫られたのは、百七十三病院だった。 このうち、既に派遣医師がいなくなった病院は九十、今後ゼロになることが決定しているのは二十七で、中四国地方の二十三を含め計百十七に達した。ほかに、医師は少数いても分娩の取り扱いを休止した病院は四十三病院、分娩数の制限や手術中止などの業務縮小も二十五病院に上る。 別の大学から派遣を受けて業務を継続している病院もあるとみられるが、調査後に引き揚げを決めた大学もあり、危機にある病院数は増えている可能性があるという。 中でも産科分野は、深夜の緊急呼び出しが多いうえ医療訴訟を抱える割合が高く、希望者は減少。女性医師の割合は年々増えているが、育児環境などが整っていないなどで辞めることも多く、対策が課題になっている。 (2005.2.17 共同通信)
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