中国新聞


父さん もっとかっこよく面白く
広島の若者50人に聞きました


 まな娘からのバレンタイン・チョコが今年で途切れてしまったお父さん、いませんか。広島市内の街頭で、「今どきの父親」像を十六〜二十歳の男女二十五人ずつにアンケートしてみた。理想像は「かっこよくて、面白い」、二枚目半。さて現実は、というと…。

(内藤俊男)

■「優しい・頼れる」好評  2割が「顔合わせない」

グラフ「今どきの父親像」街頭アンケート

 バレンタインデーに「チョコを父親にあげる(あげた)」と答えた女性は二十五人中、半数弱の十一人どまり。十四人が「あげない」と、つれなかった。贈っても一個千円以下、「義理チョコ」並み、との答えがほとんどだった。

 「毎年、二、三千円のチョコを贈る」と唯一、父親泣かせだったのが同市安佐南区、アルバイト鈴木洋子さん(19)。「頑張って働いてくれる感謝の気持ち」。父の日や誕生日も、洋服やネクタイ、安眠枕の贈り物を欠かさない、という。

 「どんな父親ですか」という問いには、「優しい」が十九人でトップ。以下、「頼りになる」「理解がある」「頑固な」「尊敬できる」と続く。

 理想の父親像トップ5のうち、「優しい」「頼りになる」は現実と重なっているものの、「かっこいい」「面白い」は現実とすれ違う。

●理想は所ジョージ

 理想の父親を有名人にたとえてもらった。筆頭は、「かっこいい」派が岩城滉一と江口洋介、「面白い」派は所ジョージ(いずれも三票)。ほかに「かっこいい」派で福山雅治、椎名誠、英国の人気サッカー選手ベッカム、「面白い」派ではタモリ、志村けん、小堺一機などが挙がった。

 「近ごろ、父親に雷を落とされた?」の質問には、「怒られた覚えが一つもない」と約一割の四人(男一、女三)が答えた。南区のアルバイト栗山礼子さん(20)は「一緒に遊べるし、話しやすい。友達みたい」。安佐南区の予備校生男子(20)の父親は「私自身、父にしかられた経験がほとんどない。息子三人とも友達感覚で、妻に『子どもが四人いる』と言われた」と照れた。

 逆に、「どんな父親ですか」には、男ばかり三人が「近寄り難い」と答えた。「喫煙がばれ、げんこつをくらった」「携帯ゲーム機で遊んでよい制限時間を守らず、金づちでたたき壊された」。同市西区、専門学校生中山哲茂さん(19)は高校時代、友達と夜遊びして帰ったら「竹刀で殴られた」という。「自分も、父みたいな一家の大黒柱になりたい」

 親子のコミュニケーション不足なのか、「だらしない」「話が通じない」(ともに六人)、「うっとうしい」(四人)と容赦ない声も目立った。食事時間が合わない、共通の話題がない、などの理由で、約二割の十一人が「ほとんど、父親とは顔を合わせない」。真っ先に思い浮かぶ父の姿は「家でごろごろ」と十人が挙げた。

●子どもと向き合う

 「児童虐待、家庭内暴力にならないかと、親たちを縛る自制心、ブレーキは強くなり、子どもをしかりにくい時代」と話すのは、広島市「佐伯区おやじの会連合会」会長の会社社長橋本英樹さん(45)。十三〜十八歳の三人娘の親でもある。

 「でも子育てから逃げたらダメ。子どもは父親の顔色で、社会で許されること、許されないことの境界線を知るんだから。真正面からわが子と向き合い、格闘する中で、父親自身も成長するんです」。とかく、父親に「なる」のは難しい。

(2005.2.16)


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