中国新聞


出産に保険適用検討
厚労省、一時金の増額も


 厚生労働省は十二日までに、現在は医療保険が使えない出産費用の保険適用や、出産時に支払われる一時金三十万円の増額などを検討することを決めた。少子化対策の一環として、親の経済的な負担を軽減するのが狙い。二〇〇六年の通常国会で法案提出を目指す医療制度改革の検討課題となる。

 これまで妊娠時の検診や正常分娩(ぶんべん)の費用は、医療保険の対象となっている疾病、傷害には当たらないとして、自己負担とされてきた。帝王切開など診療報酬で認められた医療行為に限り適用対象となる。その代わりに一時金として国立病院での出産費用を参考に決めた三十万円が支給されている。

 しかし、〇二年のこども未来財団の調査で、定期健診、分娩、入院を合わせた出産費用は平均約四十五万円かかっており、親の実質負担は約十五万円。これ以上に費用がかかるケースも少なくない。

 保険適用の場合は自己負担が三割となるため、出産費用が約四十三万円より少なければ、一時金三十万円を受け取った方が経済負担は小さい。このため、一時金を増額した方が負担減につながるケースもある。

 同省はこうした状況を受け、まず費用実態についての調査を実施。また一時金が出てもいったん全額を自分で払わなければならないことから「最初に全額を支払わなくてすむ制度や第三の方法も含めた負担軽減策も検討したい」(保険局)としている。

 一時金増額の場合は、これに併せて医療機関が出産費を値上げすることも予想され、医療費全体への影響なども含めた検討が必要になる。

 出産時の保険適用については、海外では例がある。


出産一時金 健康保険、共済、国民健康保険の被保険者や配偶者、扶養家族などが出産した場合、各保険から支給される一時金。金額は30万円で、妊娠85日以上の死産、流産も含まれる。共済組合など上乗せしているケースもある。出産前に一時金見込み額の8割を貸し付け、一時金と差し引きで返済する出産資金貸付金制度があるが、自治体や組合によっては設けてないケースもある。

(2005.2.13 共同通信)


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