新年度の中国地方
中国地方五県で、二〇〇五年度の教員採用の動向に差が出ている。本年度に比べ、広島、山口は四十歳代が膨らむ年齢構成を平準化するため、採用増を図る。岡山、島根は少子化や学校の統合をにらみ採用減。鳥取は少人数学級の推進に向け積極採用の姿勢だ。五県は十数年後、そろって大量退職への対応を迫られるが、当面の調整の手法には違いが目立つ。
広島県教委と広島市教委は〇五年度、本年度より百三十一人多い三百五十人を採用する予定だ。三百人を超えるのは八年ぶりである。 県教委によると、教職員の年代別構成(昨年四月一日現在)は、二十歳代が八百二十五人なのに対し、四十歳代は十倍を超える八千三百九十二人に及ぶ。第二次ベビーブームの子どもたちの就学をにらんで、一九八〇年前後に大量採用したためだ。こうした事情は各県共通で、二〇一〇年代以降、各県で退職者が急増していく。 県教委は、大量退職時代に先手を打つ形で積極採用に乗り出し、本年度は松江、福岡、神戸市などでも採用説明会を開いた。教職員課は「積極採用を退職者が多く出る時期まで待てば、再びいびつな年齢構成になり、後に同じ事態が繰り返される」と強調する。 山口県は、ここ五年間で最多の百八十一人を採用する予定。担当者は将来の退職者増に加え、少人数学級などへの対応も採用増の理由に挙げる。 逆に島根県は、本年度より二十二人少ない七十二人と、この五年間で最少に抑える。県教委義務教育課は「少子化に加え、市町村合併後の学校の統合など未知数な部分が多く、予算も厳しい」と説明する。 本年度比で二十人減の三百四十五人を採用する岡山県も「将来の大量退職は念頭にある」としながら、定員や財政状況をにらみながら現段階では積極採用を控える。 鳥取県は〇三年度以降、それまでの二倍の二百人を超える採用を続け、〇五年度は二百四人を予定。小学一、二年生で実施している三十人学級を継続していくのが主な目的だ。同時に年齢構成の平準化も視野に、採用の年齢制限を五十歳未満と高く設定している。 (2005.1.19)
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