学力低下で文科省検討 ゆとり路線転換 文部科学省は十八日、ゆとり教育を掲げる新学習指導要領の目玉である「総合的な学習の時間」(総合学習)の在り方を見直す検討を始めた。中山成彬文科相は同日、子どもの学力低下に関連し、総合学習より国語や算数(数学)などの基礎的教科を重視すべきだとの考えを示した。ただ総合学習の見直しは「ゆとり路線」の転換につながるだけに、教育現場から「生きる力を身に付けるための処方せんだったはず」との声も上がっており、小、中学校への導入からわずか三年での見直し論議には反発も予想される。 見直し作業では(1)総合学習の授業時間数の削減(2)授業方法(3)総合学習実施のための教員配置―などが具体的な課題になるとみられる。 文科省は十八日、義務教育制度改革に教育現場の声を反映させるため、中山氏の母校である宮崎県小林市の小林中学校で「スクールミーティング」(学校対話集会)の初会合を開催。現場の教員らから、子どもの学習意欲や学力の低下傾向に相次いで懸念が示された。 これに対し、中山氏は「授業時間数が減っていて学力が向上するはずはない。教えていても(時間が足りず)中途半端だ」と、ゆとり教育実施による学力低下への影響を指摘。その上で「国語や算数にもっと力を注ぐべきではないか」と述べ、基礎的教科の充実が最も必要との考えを強調した。 この後、記者団に対しても「国語、算数、理科、社会の基本的教科の時間をいかに確保するか。総合学習や選択教科をどうするかだ」と表明した。会合では「個人的には土曜日も半日授業をしてもよいのではないのかとの思いもある」とも述べた。
(2005.1.19 共同)
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