中国地方本年度10人 昨年度超す 名前公表でも後絶たず セクハラやわいせつ行為による公立学校教員らの懲戒処分が、中国地方で増えている。本年度だけで広島が四人、岡山が三人、山口が二人、鳥取が一人の計十人。既に昨年度の計八人を超え、免職や解雇は八人に上る。各県教委は、処分を受けた教員の名前の公表など厳しい姿勢を打ち出すが、後を絶たない現状は「教育者の自覚」の薄さを浮き彫りにしている。 「不祥事の度に指導を繰り返してきたが、現実にこのような事態が続いている。重く受け止めないといけない」。十日、セクハラやわいせつ行為に絡む三件の処分を発表した広島県教委。関靖直教育長は、会見で苦渋の表情を隠せなかった。 同県教委は四月から、処分者が出る度に、詳しい処分理由などを全学校に電子メールで伝え、再発防止を促している。しかし、セクハラやわいせつ行為の処分者は、既に昨年度の一年間と同数に達した。 山口県教委は昨年一月、免職にした教員や職員の名前を原則公表する方針を打ち出した。しかし、本年度に入り、わいせつビデオを販売した中学教諭ら二人が免職となっている。 岡山県では、中学校長が元同僚の女性のわいせつな合成写真をばらまく事件が発生。部活動で女子生徒に抱き付いた教諭らも含め計三人が免職になった。県教委は「絶対に許されない行為」(教職員課)として、セクハラ撲滅の具体策を検討している。鳥取県教委も「厳しい態度で臨む」と強調する。 島根県教委は八月、児童・生徒へのわいせつ行為は、すべて懲戒免職とする処分基準を明文化した。同県教委は「県民からみて処分が甘いという指摘を反映させた」と説明する。 一方で、ある県教委の担当者は「社会変化に追いつけず、セクハラをセクハラと思わない教員がいるのも事実」とも打ち明ける。厳罰化が抑止力につながるか否かは未知数だ。 広島県高校PTA連合会の渡辺綾子会長は「教員としてのプライド、規範意識が薄らいでいる」と指摘。「不祥事があった際の一過性の対策でははなく、継続的に教員を研修するシステムが必要ではないか」と提起している。
(2004.9.15)
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