本年度導入 神辺の小中学校 ■英語・水泳…独自プログラム 自主的な学習意欲養う 広島県神辺町は本年度から町内の全小中学校で二学期制を導入した。十月初旬までが一学期となり、従来は一学期と二学期の区切りだった夏休みは「一学期中」の位置付けになった。特に小学校は同時に、町独自に採用した英語指導助手(AET)が配置されて一斉に英語活動がスタートし、変化が大きい。様変わりした小学校をのぞいてみた。 (石井伸司)
平素は三百六人が学ぶ二棟の校舎。北側の棟の三階、西端の一室だけに笑い声がはじける。制服姿の児童はいない。十六日午前、御野小の「英語教室」には四―六年生十五人が参加した。
「イン、アウト、サイド、アンダー、オン」。掛け声とともに、ぴんと張ったひもがつくるスペースに対して決まった動作をする。向かい合った二人のうち、どちらかが失敗するまで続ける。 AETリード 町が小学校向けに計四人雇い入れたAETの一人、ロバート・テイラーさん(23)がリードする。通常の時間割の英語活動の時間は週二回二十分ずつだが、夏休み中の教室は六十分間。「じっくりとゲームに取り組んで楽しみながら英語を吸収する機会にしたい」とテイラーさん。 六年友道麻衣さん(12)は「ロバートと英語で話すのが楽しいから参加した」と話す。ただ学校に来る機会が増え「夏休みが短くなった気がする」と残念そう。「僕たちが家にいる日が減ってお母さんは喜んでいる」と明かす男児もいた。 皐月利夫校長は「事前にスケジュールを渡し、保護者と一緒に参加日を考える機会にしてもらった。強制ではなく、自主的に何かに取り組もうとする意欲を子どもたちに起こさせることを目指した」と話す。九日にあった一―三年生対象の英語教室には八十六人が申し込み、三クラスに分けなければならなかった。 6種類を準備 町内六校が準備したプログラムは英語、水泳に加え、算数などの学力の底入れをする教室と、パソコン、読書指導など計六種類。特に英語教室は低・中・高学年別に三回ずつ計九回開く学校も。「課題相談」といった名称で夏休みの宿題などの質問を受け付ける日も設けた。 七月二十一日から八月二十九日まで四十日間の休みのうち半分の二十日間、何らかのプログラムを用意した学校もある。 学校ごとに運用の仕方にも特色がある。湯田小は七月中の四日間、「サマースクール」と銘打って、算数と水泳の短期集中教室を実施した。学習相談日と位置付けた八月十、二十の両日は、パソコンと英語の教室、読書指導の三種類のプログラムを用意。掛け持ちで受ける児童もいた。 一方、三校ある中学校は、大学生が週二回指導に当たる「放課後チューター」制度を夏休み中にも形を変えて実施。一日三時間程度の「学習相談日」を八回設け、基礎学力向上を図っている。 町教委教育指導課の石井秀憲課長は「それぞれの学校が実態に即してプログラムを組んだ。子どもたちがうまく反応し、保護者も一定に理解されつつあるようだ。夏休み中の成果を九月以降にどう反映させるか、各校で検討している」と話す。 保護者の間では当初、「夏休みがなくなってしまうのでは」と懸念する声もあったという。六年生の男児を持つ竹尋小PTA会長の黒崎美穂さん(40)は、保護者全体の評価は今後まとめるため、個人的な意見と断りながら「学校に行く日を節目に、夏休みを計画的に過ごしやすくなったのでは」とみている。 (2004.8.20)
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