中国新聞


ひとり悩む姿勢浮き彫り
ひろしまチャイルドライン 昨年度まとめ


 18歳以下の子どもたちの話し相手として電話相談に応じている広島市の特定非営利活動法人(NPO法人)「ひろしまチャイルドライン子どもステーション」が、昨年度の対応状況をまとめた。報告書「伝えたい!子どもの気持ち〜受話器の向こうで」からは、相談相手がいなくて独りで悩んでいる子どもの姿が浮き上がってくる。

(治徳貴子)


■人間関係の希薄さ背景 周囲 もっと話し相手に

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報告書「伝えたい!子どもの気持ち〜受話器の向こうで」

 昨年度、受けた電話は三千八百四十四件で、無言電話などを除いた通話件数は二千六百四十九件。年齢・性別を聞かないため集計上は不明が多いが、判明している中では女子の電話が男子より一・二倍多く、小学校高学年の女子が百四十七件と最も多かった。

 内容は「学校関係」27・3%、「自分自身について」18・5%、「家族関係」5・3%のほか、「いたずら・お礼・雑談などその他」13・4%、「無言・ひとこと・すぐ切れたなど」35・5%だった。

 学校関係では「友人との関係」8・8%が最も多く、続いて「異性関係・異性問題」。「いじめ」は本人・本人以外を合わせて5・1%あった。

 「自分自身」の問題では「性」「心の不安定」が目立ち、「家族関係」では「母親との関係」を悩む声が多かった。

 報告書の事例は、生々しい声がつづられている。「けんかしたんだけどどうしたらあやまれますか」「六月に入って、友達三人が急に話しかけてくれなくなって無視されてしまう」「付き合っている女の子に『全然会えないから別れたい』と言われたのですが…」

深刻な内容も

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子どもからの電話相談を受けるチャイルドラインのボランティア(広島市内)

 深刻な内容もある。「お父さんが怒ると暴力をふるう」「お母さんが離婚届を持っていて、お父さんが浮気をしたら出せるようにしている」「お風呂に入っているとお父さんが後から入ってきて、変なことをしてくる。お母さんは気づいていない…」

 情報化社会を反映した内容も。「インターネットのホームページに人が来ない。友達がホームページを開いていて、私が宣伝の役目だけど…」

40人が相談に

 背景には、悩みを打ち明けられない人間関係の希薄さもあるようだ。上野和子理事長は「かけてくる子どもは身近に話し相手がいなくて、寂しい様子がうかがえる。親は、子どもの悲しみやいら立ちを受け入れて、もっと話し相手になることが大切」と話している。

 「ひろしまチャイルドライン」は、二〇〇〇年三月に開設。研修を受けたボランティア四十人が交代で相談の受け手になり、毎週月、金、土曜日午後三時〜九時に話を聞いている。

 報告集はA4判、三十二ページ。五百円で一般にも頒布している。事務局TEL082(272)5540。子ども専用のチャイルドラインTEL082(273)0852。

(2004.8.14)


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